他国の医療保険の3つ目の例としてイギリスをあげてみます。
イギリスでは「保険」という形のものは用いられておらず、「国民保健サービス(NHS)」というものが使われています。これは1948年に患者の求める医療に対して、公平なサービスを提供するという目的のもと設立されたもので、予算のほとんどが税として徴収された国の一般財源によって賄われており、現在まで変わらずに運営され続けています。
またイギリスは大きく分けてイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域に分かれていますが、行われる治療の内容や指針はその地域ごとに独立して設定、個別に運営が行われています。
最大の特徴となっているのは、国民が各医療サービスを受けたいと思ったら、それら全てをいつでも無料で受けられるというところです。これは経済的に高額の医療費に対する支払い能力が無い人でも利用することができ、誰もが平等に医療を受けられるという点では、日本の国民皆保険制度と近い理念があるといえます。
また受けることができる医療サービスも、疾病への予防や治療といった基本的なものから、リハビリといったものまで含まれた包括的なサービスであることも特徴の1つです。しかしこの国民保健サービスの最大の問題は、予め決められた予算の範囲内までしかサービス提供が行えないという点です。
それにより起こった問題の事例として、1980年代に女性首相「マーガレット・サッチャー」が厳しい医療費抑制政策を行った結果、入院待機状態の患者数が急増したり、予算不足によって多くの病院が閉鎖したり、手術が6か月も待たされる患者が現れたりしたといわれています。